2023の10テーマ・2024の4テーマ

2023にまつわる10のテーマをご紹介します。順不同です。

1.エドワードヤン探訪@台湾

回顧展のため、台湾に行って、ロケ地を巡った。心から愛する映画の情景がありありと広がっており、たった30年ほどの時間しか隔たっていないはずの距離感はもっと雄大なものに見える。あまりにテンションがあがり、不法侵入で捕まりかけた。危ない。

友人がチケットを用意してくれて、駒場にも公会堂にも参加することが出来た。駒場はもう完全に授業で（900番講堂！）、彼の詩世界の根底にある関心が、学術論文と共に紹介された。科学と自然といったテーマは、公会堂でも変わらず掲げていたが、印象に残ったのはやはりライブの方で、この日の強い気持ち・強い愛は彼のライブの中で最も輝かしい瞬間の一つであった。

3.映画「ラジオ下神白」

小森はるかさんの映画上映会に濱口さんとのトークショーがくっついていた。二人の作品をそのまま表したようなトークショーもよかったが、何より映画が素晴らしく、僕が一生かけても見せてもらえないような表情に溢れていて、悔しかった。シンプルに悔しかった。僕も人生であの顔が見たい。

4.ジャックロジェ特集

ヴァカンス映画といえばそうだが、無計画な日々の中に一瞬差し込む光のような奇跡の瞬間、光がその他すべての転がる風景に輝きを与える。今年最も気に入った特集上映。ブルーレイボックスを絶対に出してください。

5.ジブリ諸作品

ジブリを全く見たことがない人生であったが、突然見始めた。まずナウシカ。こんな不可解な作品が人気で地上波電波で放送されていることが異常だし、なんでそんなことになっているのかわからない。色々見返して再開発にあらがう狸の映画が大好きになった。ポニョが狂いに狂っていると思ったが、新作の君生（きみいき）も同様であった。ジブリが認められている世の中は良いと思う。

6.町田康「告白」

四半世紀ほとんど文学を読んだことのない人生であったが、これはその短い人生の中で最も印象に残った文学と言えるだろう。あまりにも自分としか思えない主人公に、自分以外の誰かにとっても、その人自身であると思わせる呪詛が仕組まれている。文体という概念を学んだ。

7.狸穴創作

今年は演劇を１つ（Last Train To London）、短編映画を１つ（1+2）、制作しました。どちらも思い入れのある作品で、自分が何を描くべきなのか、ということを考えるきっかけになり、来年以降の創作意欲の糧になりました。関わってくださった友達の皆様に心から感謝します。

8.引っ越し

５年間住んだ大岡山から野方に引っ越した。東横線的な大岡山と中央線的な野方、あまりにも隔たった世界に驚愕してしまう。大岡山で過ごした日々はなんだったのか、不毛な都市開発と小さな富裕層が集まる脱臭された沿線。なんの郷愁もなく、野方に引っ越して1週間、ただ地球の中でわずかばかり残された聖域に祝福された気持ち。

9.音楽

それぞれ良かったものを５つずつ。

◎アルバム

Sufian Stevens「Javelin」

Pink Pantheress「Heaven Knows」

君島大空「no public sound」

Summer eye「大吉」

James Blake「Playing Robots Into heaven」

◎ライブ

GEZAN@FUJI ROCK FESTIVAL

LIZZO @FUJI ROCK FESTIVAL

James Blake@Summer Sonic

Arctic Monkeys@東京ガーデンシアター

くるり@Zepp Divercity

10.映画

映画学校に通い始めたこともあり、高校生ぶりくらいに狂ったように映画を見てました。300本とかは見たのではないだろうか。特集上映で過去の名作にアクセスできる魅力に比べて新作映画の力強さを感じづらかった1年かもしれませんが、カウリスマキやライカートの新作には映画としての喜びに満ちた大傑作でございました。ギャレスエドワーズのザ・クリエイターにもワクワクさせられました。怪物やキラーズオブフラワームーンなど世の中的なヒット作に関心が向かないどころか、苛立ちさえ覚えましたが、だからこそ素晴らしい映画を目撃できることにありがたみを感じます。

ついで、来年やりたいことです。

◎映画・演劇を作る

引き続き、映画は映画館で上映される卒業制作で1本、演劇でも1本の制作を予定してます。頑張ります！